ルーツゴルフの心臓部とも言える、「スーパーアーメット鋼」。

“アマチュアゴルファーが、誰でも簡単に飛距離を伸ばせるゴルフクラブ”というコンセプトのもと、構想から様々な試練を乗り越え製品化しています。

エンドユーザーのニーズに応えようと、日々努力を続ける商品開発部のプロジェクトリーダーである其阿弥さんに、秘話を語っていただきました。

 

-使う人を楽しくさせるスーパーアーメット素材-

Q:スーパーアーメット鋼はどんな金属か教えてください。

A:スーパーアーメット鋼とは、鉄にコバルト15%、ニッケル11%、クロム2%、モリブデン1%を配合した超合金で、非常に高い耐久性(硬さ)と、引っ張り強度(しなやかさ)を持ちあわせており、航空母艦に着艦した戦闘機の勢いを止めるための装置(フック)やレーシングカーのプロペラシャフト等に使われている素材です。

5メートルの至近距離から放たれたワルサーP38の銃弾を、厚さたった2㎜のアーメット鋼が弾き飛ばすという金属です。びっくりしませんか?? しかし正直なところ、この超合金はコストが非常に高い上に、加工が難しく、錆防止からメッキも施さなければいけないので、ゴルフクラブのヘッドにはとても使いにくいものなのです。

しかし「大きな飛距離」に強くこだわりを持ってクラブ開発をしている我々にとっては、この「硬くて」「しなやか」という二律背反する性質を併せ持つスーパーアーメットは唯一無二の素材として無くてはならないものと考えています。

Q:チタンと何が違うのですか?

A:先程、スーパーアーメットは強い引っ張り強度も持ち合わせていると言いました。
想像してみて下さい。金属の板の両サイドを固定し、左右それぞれから反対方向へ強い力で引っ張り合うと金属は伸びますが、引っ張るのを止めると元に戻ります。

しかし、とても強い力で引っ張った場合、元には戻らないか、割けてしまいます。ちなみにこの元に戻らないほどの力がかかりはじめるところを降伏点と言いますが、スーパーアーメットはこの降伏点が高く、6-4チタンの2.4倍の「硬さ」を持ちながら、同じく2.4倍の「引っ張り強度」を持ち、強い力で伸ばされても元に戻るという特殊性「しなやかさ」を兼ね添えている。ここがチタンとの一番大きな違いですね。

金属は、「焼き入れ-冷却-焼き戻し」という熱処理を施し硬度を出すのですが、通常6-4チタンが約5時間でできるのに対し、スーパーアーメット鋼は、約13時間かけなければいけません。このアーメット鋼をゴルフクラブに採用し始めた頃は様々なトラブルがありました。

今となりましては、この熱処理の方法次第で硬度と引っ張り強度をコントロールできる様にもなりましたので、これから更に研究を進め、今以上に飛距離を出せるクラブ作りができると思っています。

Q:なぜスーパーアーメット鋼を使用したクラブはよく飛ぶのですか?

A:おもちゃ屋さん等で売っている「ニュートンのゆりかご」ってご存知ですか?
5~6個程の金属球を同じ長さの2本の糸でVの字にぶら下げている物で、一番端の金属球を持ち上げて離すと、反対側の金属球が持ち上げた同じ高さの分だけ跳ね上げられ、その動きが繰り返されられるという物です。

これは、同じ硬さ同士の物がぶつかり合っているので、長く動き続けているのですが、もしどれか1個の球が柔らかい物だったら、そこから力は逃げてしまい、早く止まってしまいます。

これをゴルフに置き換えますと、ボールをフェースにヒットさせた瞬間、ゴムを主成分とするボールはつぶれ、フェースはたわんでいます。一見、フェース面は硬い方が反発力を増し、飛びそうなイメージなのですが、双方(この場合でいいますとボールとフェース)の硬さに違いがあり過ぎると、ボールは変形し過ぎ、ボールを元の形に復元するエネルギーの一部が熱に変わって逃げてしまい、結果、飛距離に結びつかないのです。

先程ご説明しました通り、スーパーアーメット鋼は「硬さ」を持ちながら「しなやかさ」をも持つ素材であります。しなやかという事はその分フェースは多くたわみ、ボールの硬さに近づく。結果、クラブとボールそれぞれの硬さを調和させ、反発力が高まり飛距離を伸ばす事ができるのです。

-開発から完成までの熱意と試練-

Q:新製品を開発する際、どのようなことに苦労しますか?

A:当然、前モデルより更に進化した製品でなければいけない。1人でも多くの方々から飛距離が伸びたと言っていただける製品にしなければいけない。とプレッシャーはありますが、今まで蓄積してきた膨大なデータに、発想の転換!インスピレーション!を加えて、実験することは楽しく、新製品が完成した時のことを思い浮かべれば、苦労などとは全く思いません。

近頃、反発係数がオーバーしたルール不適合ドライバーを発売されるメーカー様が多くなりました。ゴルフは基本楽しむスポーツなので、趣味の一環だと言われる方、競技には出られない方にとりましては、適合、不適合は関係の無い話しだと思いますし、決して間違っているとも思いません。

ルーツゴルフは今まで「飛距離」を一番にこだわり製品開発して参りました。一部のユーザー様、販売店様からルーツが高反発ルール違反のクラブを作ればもっと飛ぶのでは?作ればどうか?というお声もいただきます。

しかし、我々はルール適合クラブで勝負いたします。適合品であっても、不適合品に勝る製品を作ることはできます。スーパーアーメット鋼はそれを叶えてくれる性能を備えた大きな味方です。さらにこれからの研究次第でまだまだ進化できる素材です。

チタンとの接合が簡単にできないなど、加工に難しい素材ではございますが、「ルール適合品でありながらルール違反クラブに勝る飛距離を出せるクラブ作り」にこだわり続けたいと思っております。

Q:開発責任者としてどのような時にやりがいを感じますか?

A:やはりご購入いただいた方々から「飛距離が伸びたよ!」「ゴルフが楽になった!」といったお言葉を頂戴した時には飛び跳ねたくなる程嬉しくなり、やりがいを感じます。

しかし、スイング、体力、背丈等それぞれ条件が違うアマチュアゴルファーの方々全員に満足される商品を作る事は難しいので、試打クラブを打たれた方に自分には合わなかったと言われる事はあります。実はこの瞬間、次こそこの方にも満足されるクラブを作ってみようと思うのです。この瞬間にもやりがいを感じます。

Q:シャフトに関してもこだわりがあるのですか?

A:勿論です。

ルーツゴルフクラブの持ち味は「大きな飛距離」ですが、この「大きな飛距離」は、「しなやかな」スーパーアーメットフェースと「しなやかで強く弾く」高弾性繊維を多く使用したシャフトとの相乗効果から生まれています。

弊社が使用しております高弾性繊維は、他社で発売されておりますカスタム品に装着されているシャフトと比較いたしましても同等もしくはそれ以上のカーボン繊維を純正品に使用しています。一般的なカスタム品のシャフトは、24t、30t等の繊維を使用していますが、弊社の製品は40t以上の繊維を使用しています。

24t、40tといった表示は、1本のカーボン糸を2倍の長さにする為に、どれだけの重量(力)が必要かという事を示しています。高弾性繊維(数値が高い物)ほど、スイング中に感じるシャフトの粘りやスピード感、加速感が高まるのです。
製品ごとにターゲットを絞り込み、その方々が楽に飛距離を伸ばせる、楽にボールを捕まえる事ができるシャフトを開発しています。

Q:どんなゴルファーに使ってほしいですか?

A:ルーツゴルフのクラブは、プロやトップアマチュアの方々向けに作ってはいません。 「アマチュアゴルファーの為に」作っているクラブです。
飛距離を伸ばしたいとお考えのアマチュアゴルファーの方々にぜひ使って頂きたいと思います。

私はゴルフにおいて、飛距離は最大のアドバンテージであると思っています。
グリーン(ピン)を狙って打つ場合、少しでも短い番手のアイアンを持った方が、気分的にも余裕ができて良い結果に結びつくと思いませんか?

もし、ここ最近飛距離が落ちてきた、スイングを変えずに飛距離を伸ばしたいという方がおられましたら、何も言わず一度ルーツゴルフのクラブを打ってみて下さい。打った瞬間に飛距離の違いを実感していただけると思います。

Q:開発のヒントはどんな時に生まれるのですか?

A:やはりアマチュアゴルファーの方々のスイングを比較研究している時にひらめく事が多いです。

当然私も一人のゴルファーなので、ゴルフ場や練習場に行きますが、自分の事はさて置き、ゴルフ場なら一緒にラウンドしている方のスイングを、練習場なら自分の回りで打っている方のスイングを自然と見てしまいます。一種の職業病です。(笑)

例えば、なぜこの方はフェースを凄くかぶせて構えているのに打球はスライスするのか?この方のスライスを抑える為にはどういう要素をクラブに搭載すれば良いのか?等と考えているとアイデアが次々に連鎖、交錯してさらに面白いアイデアが出てくるのです。

Q:開発責任者としての今後への抱負、想いは?

A:近頃、「高反発」などの表記であらわされ、ルール不適合のドライバーが本当に多くなってきたと思います。
確かにゴルフというスポーツは趣味の1つで、楽しむことが一番だと私自身も思っています。競技に出ない方にとっては、ルールに適合しているクラブ、適合していないクラブに関係なく、自分に一番合っていると思えるクラブを使われれば良いとも思っております。

しかしゴルフの基本精神はあるがままに打つということであり、レフリーのいないスポーツとしての誇りがゴルフにはあります。ルーツゴルフは「ルール適合」で「素晴らしい飛距離と易しさ、そして美しさを持つクラブ」を作り続けていく考えであります。

どうか末長くルーツゴルフをご愛顧賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

商品開発部

プロジェクトリーダー

其阿弥 貴之(ごあみ たかゆき)様



以上が開発者インタビューです。